- 私の旅行記
アメリカ アリゾナ ロスト・ダッチマン州立公園
更新日:2020年12月28日

こちらは、アリゾナ州にある「スーパースティション山地」の山麓でハイキングをすることができる州立公園「ロスト・ダッチマン州立公園」です!
後方にそびえる岩山が「スーパースティション山地」で、ふもとに広がる丘陵は、普段は乾燥した砂漠ですが、春にかけて野草が花開く草原となります。
「ロストダッチマン」の地名は、ゴールドラッシュ時代にこの地を探索したドイツ人移民の伝説に由来します。金鉱は見つからないまま、現在は自然公園を抜けるトレイルをハイカーたちが楽しむ自然公園となっています。
【トレイル】

「ロスト・ダッチマン州立公園」には、いくつかの良質なトレイルが走っています。最も簡単なものは「ディスカバリー・トレイル」で、人間の背丈よりはるかに高いサボテンが生えている中を歩くという、実にアリゾナらしいところです。
景色が素晴らしいのは「シフォンドロー・トレイル」であり、「シフォンドロー」と呼ばれるキャニオンの中を歩くとても美しいところです。また、ハイキング以外にもピクニックやキャンプが可能で、夏は非常に暑いですが、それ以外の季節であれば無理なく歩くことができるでしょう。
特に、緑の下草が生えそろう春の季節はとてもよい雰囲気になります。いずれの季節であっても、荘厳ともいうべきスーパースティション山地がそびえ立つ平原を歩くのは、日本では得難い経験と言えます。
【歴史・伝説】

「ロストダッチマン鉱山(Lost Dutchman's Mine)伝説」ほど知られ、語り継がれてきた西部の昔話は他に類を見ません。伝説にありがちなように、この話でも事実が大袈裟すぎるほどに誇張されたところに、事実無根の作り話が少々付け足され語られてきました。
例えば「金鉱掘りには私の金鉱は見つけられない。」「私の金鉱を見つけるには牛舎の前を通らなければならない。」「金鉱の入口には夕陽が差し込む。」などがあります。
100年が経過した現在でも、この話は広く信じられているだけでなく、未だに人々を「スーパースティション山地(Superstition Mountains)」へ、「ダッチマン」の金探しの冒険へと駆り立てています。
〖黄金伝説〗
秘境に眠る財宝を求めるトレジャーハンティングは、夢やロマンが詰まった素晴らしいものですが、あまりにも壮大な話ですべてがフィクションのように思われます。しかし、世界には莫大な財宝を手にしたと言われる人たちの話があるのも事実です。
そのひとつが、アメリカ南西部に位置する〖アリゾナ州〗に伝わる「ロストダッチマン鉱山」の黄金伝説なのです。
北部に世界遺産の「グランドキャニオン」がある〖アリゾナ州〗は、首都である「フェニックス市」こそ近代的なビルが立ち並びますが、数十キロ離れれば砂漠とサボテンが続く西部劇でおなじみの景色が広がります。
「ロストダッチマン鉱山」は、「フェニックス」から東へ50キロほど離れたアリゾナ砂漠の外れにそびえる「スーパーステイション山脈」にあります。
〖消えた金鉱〗

「ロストダッチマン鉱山」の伝説は、ドイツからアメリカへ移り住んだ「ジェイコブ・ワルツ」と、彼の相棒だった「ジェイコブ・ウェイザー」という2人の男が1870年代に莫大な金を見つけたという話が起源となっています。
「ジェイコブ・ワルツ」は、地元の投資家の援助を受けて1862年から〖アリゾナ〗で金鉱探しをしていました。発見した金を投資家へ渡し、それによって投資家が得た富から報酬が還元されるという条件の取引をしていたとされています。
伝説によると、1870年代に入り「ジェイコブ」は金塊の袋を抱えきれないほど持って「フェニックス」に現れ、金を見つけた自慢話をしていたといいます。彼はしこたま飲んで酔い、お金を湯水のごとく使い、自分の発見した膨大な量の金を自慢していたそうです。
「ワルツ」が発見したのは、かつてないほどに豊かな金鉱で、数百万ドルの価値があるほどだとか。しかし、「ジェイコブ」は「スーパーステイション山脈」にあるということ以外、最期まで金鉱の場所を明かさなかったため、どこにあるのかは誰にもわかりませんでした。
そのため「ジェイコブ」が金を発見した話には、1840年代に「ペラルタ」という名の富豪が「スーパーステイション山脈」で掘り当てた金鉱を見つけたのだという人や、「ペラルタ」が金の発掘で雇っていた人夫が金を運ぶ途中で「アパッチ」に襲われ、その場に放置されていた金を横取りしたのだという人、「ジェイコブ」が誰も知らない金鉱を山中で見つけたのではという人など、さまざまな説が語られています。
〖金鉱が消えた理由とは?〗

「ワルツ」がドイツ移民だったことから、原住民が「ロストダッチマン(消えたドイツ移民)」と呼ぶ鉱山には、その後何人もの人が金を求めて足を踏み入れていますが、未だに誰も金鉱へたどり着けていません。
なぜ誰も金鉱を見つけられないのか?その理由にはいくつもの説があります。「スーパーステイション山脈一帯」は、元々「アパッチ」と呼ばれる気性の荒いインディアンが聖地として守る土地でした。
そのため、金を採ろうと山へ入る者は「アパッチ」に襲われて命を落とし、行方不明者もかなりの数に上るといいます。そうしたことから「迷信の山」という意味を持つこの山は「殺人山」とも呼ばれ、現地の人たちから恐れられているということです。
金鉱が見つからないのは、山を守る「アパッチ」が入口を埋めて隠したのではないかと言われています。また、大きな地震で入口が塞がれてしまったという説もあり、いまだ真相は明らかになっていません。
更に、最も不可解なのが伝説の後半部分です。「ワルツ」が幸運にも大量の金を発見してから少なくとも10年間、彼は「フェニックス」近郊で、富豪ぶりをひけらかすこともほとんどなく、穏やかな暮らしを営んでいました。
1891年10月25日、どう見ても貧困の中で「ワルツ」は81歳で亡くなっています。晩年の彼は、「フェニックス」でアイスクリーム店を経営していた「ジュリア・トーマス(Julia Thomas)」というアフロアメリカンの女性に生活の面倒を見てもらっていた。
〖現在はテーマパークに!〗

金の採掘で栄えた鉱山町は現在、当時の名残を留めるテーマパークとして開放されています。博物館では当時の資料が公開され、町を蒸気機関車や馬車で巡ったり、ジープでスーパースティション山まで行けるツアーがあるほか、砂金さらいも体験できます。
また、山の麓にはサボテンや山並みを眺めながらハイキングやキャンプができるロストダッチマン州立公園があります。
誰でも、「スーパースティション山地」で「ロストダッチマン鉱山」を探すことはでき、「スーパースティション自然保護区域」は「フェニックス」から東に30マイル(50キロ)、「アパッチ・ジャンクション(Apache Junction)」を過ぎてすぐの復興された鉱山町、「ゴールドフィールド(Goldfield)」近辺に広がっています。
「ロストダッチマン州立公園(Lost Dutchman State park)」と併設のキャンプ場は山麓部分にあります。
「ゴールドフィールド・ベッドアンドブレックファスト(Goldfield Bed and Breakfast)」を経営する「ジェリー・ガーギャリワン(Jerry Gargalione)」氏が、「ゴールドフィールド」での宿を喜んで提供してくれるだけでなく、「ダッチマン」の金の話で訪れる人をもてなしてくれますよ!
【アクセス】
「ロスト・ダッチマン州立公園」は、「Apache Tr.」沿いにあり、「フェニックス」からは「US-60」を東へ進み、「Idaho (Ariz.88)」で下りて北上します。
「Ariz.88」の標識に沿って右へ曲がると「Apache Tr.」に入ります。しばらく道なりに進むと、標識が見えてきますので右へ曲がって公園に入り到着です。
「ロスト・ダッチマン州立公園」は、毎日日の出から午後10時まで開園しています。
いかがでしたでしょうか。
「ロスト・ダッチマン州立公園」の山の中には、一攫千金を狙う金の亡者がいる可能性も十分にあり、危険が伴うことも理解しておくべきしょう。
この辺りを訪れるなら、気温が比較的しのぎやすい晩秋から春先が最適でしょう。夏場は高温低湿で、「スーパースティション山地」は近寄りがたいだけでなく危険な場所ともなり得ます。
興味のある方は、ぜひロマン満載の「ロスト・ダッチマン州立公園」へ訪れてみてはいかがでしょうか?
【基本情報】
ロスト・ダッチマン州立公園
住所:6109 N Apache Trail, Apache Junction, AZ 85119
電話番号:+1 480-982-4485
トレイル:6:00 a.m. - 10:00 p.m.
ビジターセンター:
月曜日~金曜日:7:00 a.m. - 7:00 p.m.
土曜日・日曜日:6:00 a.m. - 7:00 p.m.
料金:
一台あたり(大人1~4): $7.00
個人・自転車: $3.00
公式サイト:https://azstateparks.com/lost-dutchman
※記事内容は執筆時点のものですので、最新の内容をご確認ください。